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掲載日:2017年2月8日

県内では、どの河川が汚れているの?

Question - 質問します

埼玉県内では、どの河川が汚れているのですか?

また、なぜ河川が汚れるのか、その原因についても教えてください。

Answer - お答えします

水環境担当 柿本 貴志

一般的に河川の汚れは生物化学的酸素要求量(BOD)という数値によって評価されます。これは水中で微生物によって“分解されやすい有機物”(=微生物にとっての餌)が“安定した有機物”(=微生物がもう餌として利用できない物質)に変化するまでに消費される酸素量を意味し、BODが大きい水(=汚れた水)は水中の酸素を多く消費するということになります。河川では細菌などの微生物から昆虫、魚類など多様な生物が生態系を構築していますが、それら各々が生きていくためには河川水中に酸素が存在している必要があります。通常水中に溶け込むことが出来る酸素の量は少なく、そこへBODが大きい水が出されてしまうと、水中の酸素が消費され、これら生命にとって必要な酸素が奪われてしまうこともあり、健全な水環境が奪われてしまう可能性があります。

埼玉県内の汚れている川

全国の都道府県では河川水質を定期的に調査しており、年に一度国土交通省から水質等の現況について公表され、しばしばこの中のランキングが注目を集めます。平成21年度の結果については平成22年の7月29日に公表されました注1)。このランキングの対象となっている埼玉県内の河川は利根川、神流川、江戸川、中川、綾瀬川、荒川、入間川の7つとなっており、ここからお分かりいただける通り、埼玉県を代表する大きな河川が対象となっています。このランキングによると、埼玉県内の汚れている川は綾瀬川と中川ということになります。

より小さい河川も考慮できるよう、環境基準点と補助地点も含めてランキングをし直してみると〔表1〕、少し結果が異なってきます。国土交通省発表のランキングに載っていた綾瀬川と中川は、平成19年に中川が2位になっていたのみで、平成20、21年はいずれの河川も下位5河川に含まれていません。より小さなスケールで見た場合、藤右衛門川・論處橋のBOD平均値が9.2mg/L(H19)、8.4mg/L(H21)で県内の最下位になっていますが、最下位のBOD年平均値も年々低くなっていて、水質が改善されていることがよくわかります。BOD8.4mg/Lというのは良好な水質とは評価できませんが、昭和40年代後半にはBODが約80mg/Lという記録が残っていることも考えると、相当改善されているといえます。

県内河川のBODワーストランキング(平成19年)

順位

地点名

BOD

1

藤右衛門川/論處橋

9.2

2

中川/道橋

8.8

3

福川/昭和橋

6.9

4

古綾瀬川/綾瀬川合流点前

6.4

5

笹目川/市立浦和南高校脇

6.3

県内河川のBODワーストランキング(平成20年)

順位

地点名

BOD

1

鴨川/中土手橋

9.0

2

藤右衛門川/論處橋

8.4

3

古綾瀬川/綾瀬川合流点前

5.8

4

芝川/八丁橋

5.0

5

新芝川/山王橋

4.7

県内河川のBODワーストランキング(平成21年)

順位

地点名

BOD

1

藤右衛門川/論處橋

8.4

2

鴨川/中土手橋

6.6

3

福川/昭和橋

5.5

4

芝川/八丁橋

5.4

5

鴨川/加茂川橋

5.1

河川の汚れの原因は何か?

図1に発生源ごとのBOD排出量の割合を示します。県内河川に排出されるBOD全量のうち、生活排水、産業排水、畜産排水などがどの程度の寄与をしているかを示しています。この図からわかる通り、家庭排水由来のBODが多いのが現状です。また、この内訳を見ると、約50%が台所排水や洗濯排水などの生活雑排水によるものであることが分かります。図2に戸別処理に用いられている排水処理の方式を示しますが、生活雑排水に由来する汚れの成分が多い原因は、県内にはまだ多数の単独処理浄化槽(し尿浄化槽)を設置している家庭があり、ここから排出される無処理の生活雑排水であると考えられています。

生活雑排水を無処理で放流してしまう単独処理浄化槽(し尿浄化槽)から排水すべてを処理する合併処理浄化槽に転換しようと埼玉県では取り組みを進めています。浄化槽を交換することにより、川に対する汚れの排出量は8分の1程度に減少するため、単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に転換することは川をきれいにする有効な手段であると考えられています。

発生源ごとのBOD排出量の割合のグラフ

図1 発生源ごとのBOD排出量の割合

戸別処理における排水処理の方式のイメージ図

図2 戸別処理における排水処理の方式

おわりに

川の汚れは一般にBODという指標を用いて考えられること、その発生源は主に単独処理浄化槽を用いている過程からの生活雑排水であること、またこの浄化槽を合併処理浄化槽に転換することにより川のBODは低減させられることを述べてきました。しかし、合併処理浄化槽への転換はなかなか進んでいないのが現状とされています。転換を進める施策を充実させる必要があるとともに、その他の代替案が提案できないか検討する必要があると考えています。

注1 平成21年全国一級河川の水質現況の公表について〔国土交通省,http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000251.html〕

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 水環境担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

電話:0480-73-8353

ファックス:0480-70-2031

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