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掲載日:2018年1月15日

「環境リスク」って何ですか?

*この記事はニュースレター第22号(平成26年1月発行)に掲載したものです。

Question - 質問します

環境リスクって何ですか?
身近な化学物質にも環境リスクはあるのでしょうか?

Answer - お答えします

化学物質担当 堀井 勇一

最近、「環境リスク」という言葉を新聞やニュースで見聞きした方は多いのではないでしょうか。環境リスクとは様々な環境要因が人の健康や動植物に悪い影響を及ぼす可能性のことです。例えば、台風や干ばつなどの自然災害もリスク因子に含まれますが、とりわけ私たちの暮らしに密接に関係するものとして、化学物質がどのような影響を及ぼすのかに関心が高い方も少なくないと思います。

化学物質は、私たちの暮らしを豊かにし、便利で快適な生活を維持するためには欠かせないものです。現在、市場に流通している化学物質は10万種以上と言われています。世界的な化学情報データベースであるケミカルアブストラクトの化学物質登録数は日々増加しており、2013年12月現在で7700万種に達しています(参考URL:http://www.cas-japan.jp/)。このような中、2002年に南アフリカのヨハネスブルグで開催された持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)で、「2020年までにすべての化学物質による人の健康や環境への影響を最小化」することが合意されました。

一般に環境リスクは、環境要因の「有害性(ハザード)の大きさ」と、その環境要因が「起きる可能性」の二つの要素により評価されます。化学物質の場合は図のように、「有害性の強さ」と「環境への排出量(人や生物への暴露量)」の積で表されます。私たちは、化学物質について「どのような有害性があるか」に注目しがちですが、「環境への排出量や人体への取り込み量」や「どれだけの量を取り込むと影響が出るのか」などについても知る必要があるのです。環境リスクの大きさは、化学物質の有害性の強弱だけでなく、その排出量(暴露量)にも依存するため、有害性の弱い化学物質についても製造使用量や使用形態、環境への排出量などについて情報を整理することが重要です。近年の世界の化学物質管理政策の流れは、化学物質固有の有害性のみに着目したハザードベース管理から、人や環境への排出量(暴露量)も踏まえたリスクベース管理へシフトしています。

化学物質による環境リスクの考え方

図 化学物質による環境リスクの考え方

日用品などに使われている有害性の弱い身近な化学物質であっても、その環境リスクはゼロではなく、環境中に化学物質が大量に排出されれば、それだけ環境リスクが高くなるといえます。そのため日用品などを使うときは、製品の表示をよく読み正しく使うことが必要ですし、日常生活の中で化学物質の排出量を少しでも減らすことで、その環境リスクを減らすことができます。

化学物質の有害性は、主として化学物質の毒性、分解性、生物への蓄積性(生物濃縮)で評価されます。これらすべての性質を示す化学物質はPBT物質(PBTはPersistent(残留性)、Bioaccumulative(生物蓄積性)、Toxic(毒性)の頭文字)と呼ばれ、中でも製造使用量の多い化学物質について優先的にリスク評価を進めて行くことが重要です。

当センターでは、高い環境リスク因子となり得る化学物質について、率先して県内の環境調査を行っています。例えば、平成24年に新たに「水質汚濁防止法」の環境基準に追加されたノニルフェノールや、「化学物質の審査及
び製造等の規制に関する法律」の第一種特定化学物質として製造・輸入が禁止された(特定用途を除く)ペルフルオロオクタンスルホン酸などの化学物質については、国の化学物質管理・規制措置が決定する以前より調査・研究を開始し、県民の皆様へ最新の情報を提供してきました。また平成24年度からは、環境省の委託研究(環境研究総合推進費)で、新たなPBT候補物質として環境への悪影響が懸念されている、揮発性環状メチルシロキサン(有機シリコンの一種)について調査・研究を進めています。これまでに、分析法開発や環境中への排出量把握、さらには環境中の濃度分布と毒性情報を用いた環境リスク評価に取組んでいます。

当センターでは、今後も国内外の化学物質管理政策や研究動向に注視し、環境汚染が懸念される新たな化学物質について継続的な調査研究を行っていきます。そして、化学物質による環境リスクの少ない生活環境の実現に貢献したいと考えています。

参考資料:化学物質と私たちのくらし(2013)、埼玉県環境部大気環境課

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 化学物質・環境放射能担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

電話:0480-73-8372

ファックス:0480-70-2031

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