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掲載日:2018年1月15日

野鳥の異常死の原因は?

*この記事はニュースレター第21号(平成25年10月発行)に掲載したものです。

Question - 質問します

野鳥の大量死に関するニュースを見聞きしますが、何が原因なのでしょうか?
また、埼玉県ではどのような対応をとっているのでしょうか?

Answer - お答えします

化学物質担当 茂木 守

ハトやカラスなどの野鳥が同じ場所で一度に多数死亡する現象「野鳥の異常死」(図1)は、毎年各地で発生しています。その原因の一つとして、鳥インフルエンザウイルスの可能性が考えられますが、埼玉県内ではこれまでに野鳥の高病原性鳥インフルエンザは確認されていません。

死亡した野鳥(左上:トビ、右上:カラス、下:ヒヨドリ)

図1 死亡した野鳥(左上:トビ、右上:カラス、下:ヒヨドリ)

一方、農薬などの化学物質も死亡の原因となる可能性があります。そこで環境科学国際センターでは、死亡した野鳥から採取した胃の内容物などについて農薬など82種類の化学物質を検査しています。これは、野鳥が有害な化学物質が付着した餌などを誤って摂取することにより死亡すると考えられるからです。この検査には、精密な機器分析が必要であり、通常は結果が出るまでに数日かかります。そこで、殺虫剤等に使用されている有機リン系の化学物質については、併せて有機リン系農薬検出キット(図2)を用いて、即日判定を行い、速やかな情報提供ができるように心がけています。

有機リン系農薬検出キットによる判定(左:不検出(透明)、右:検出(紫色))

図2 有機リン系農薬検出キットによる判定(左:不検出(透明)、右:検出(紫色))

平成17年2月から平成25年3月までに当センターが検査した事例は74件で、そのうち半数の37件で何らかの化学物質が野鳥の胃の内容物から検出されています。これまでに検出された化学物質は、有機リン系農薬のパラチオン、フェンチオン、フェニトロチオン、EPN、シアノホス、エディフェンホス、およびカーバメイト系農薬のメソミル、チウラムで、これらの化学物質がカラス、ドバト、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメから検出されています。このうちパラチオンは毒性が強いため、国内では昭和47年に農薬登録が失効し、使用が禁止されている殺虫剤で、環境中からは本来検出されることのない化学物質です。パラチオン以外の化学物質は農業用の殺虫剤や殺菌剤として現在も使用されています。検出された農薬が異常死の原因であると科学的に断定することは難しいですが、野鳥の胃の内容物から農薬が検出されることは明らかに異常で望ましくないことです。野鳥の異常死を減らすためには、農薬を取り扱う者が、その使用方法を遵守し、管理を徹底することが重要です。

図3は野鳥異常死対応件数を季節による変化をみるために月別にグラフにしたものです。棒グラフの赤い部分は何らかの化学物質が検出された件数、灰色の部分は検出されなかった件数を示します。月別の件数を見ると夏に少なく、晩秋から初夏にかけて多いことがわかります。何らかの化学物質が検出された件数の割合は全体の平均で50%ですが、2月から5月では72%と全体よりも高い頻度で検出されます。野鳥の異常死は、餌となる植物や昆虫などが豊富な夏場には少なく、餌が少なくなる冬季に起こりやすいと考えられます。従って、冬季には農薬の取り扱いが不適切にならないよう特に注意する必要があります。

月別野鳥異常死対応件数

図3 月別野鳥異常死対応件数

野鳥の異常死については、埼玉県環境部みどり自然課が中心となり、関係各課と連携の上、対応しています。環境科学国際センターでは、県民の安心・安全な生活の確保のため、今後も迅速で正確な情報提供ができるよう努めていきたいと考えています。野鳥がまとまって死んでいるなどの異常を発見した場合は、直接手で触ったりせずに最寄りの市役所、町村役場、警察署、または県みどり自然課や県環境管理事務所に連絡していただきたいと思います。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 化学物質・環境放射能担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

電話:0480-73-8372

ファックス:0480-70-2031

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